当院における、以下それぞれの症例の治療成績を掲載しております。
2026年2月更新
一般的には、胚盤胞まで育った胚を移植する方が妊娠率は高い傾向があります。
一方で、すべての胚が体外で胚盤胞まで育つわけではありません。
そのため、胚の数が少ない場合や、過去に胚盤胞まで育ちにくかった場合には、早めに子宮内へ戻す初期胚移植を検討することがあります。
複数の胚が順調に育っている場合には、胚盤胞まで培養してから移植することで、より妊娠の可能性が高い胚を選びやすくなります。
胚の数が少ない場合や、体外での培養では胚盤胞まで育ちにくいと考えられる場合には、早い段階で子宮内へ戻す初期胚移植を検討します。
初期胚の段階で子宮内に戻すことで、体外では成長が止まってしまう可能性がある胚でも、体内の環境で発育し、妊娠につながる場合があります。
大切なのは、「どちらが一般的に優れているか」ではなく、「その方にとってどちらが妊娠につながりやすいか」を考えて選択することです。
▼対象者:2014年4月~2023年8月当院にて体外受精・顕微授精を施行し別周期にて融解胚移植をされた方
全国平均は日本産婦人科学会 2021年ARTデータブックより
※臨床妊娠率:胚移植後に超音波検査で赤ちゃんが入る胎嚢が確認できた率
※良好初期胚:Day2胚はGrade1-3の3cell以上、Day3胚はGrade1-3の4cell以上と定義
※良好胚盤胞:Day5,6の3BB以上と定義
▼対象者:2014年4月~2023年8月当院にて体外受精・顕微授精を施行し別周期にて融解胚移植をされた方
全国平均は日本産婦人科学会 2021年ARTデータブックより
※臨床妊娠率:胚移植後に超音波検査で赤ちゃんが入る胎嚢が確認できた率
※良好初期胚:Day2胚はGrade1-3の3cell以上、Day3胚はGrade1-3の4cell以上と定義
※良好胚盤胞:Day5,6の3BB以上と定義
低AMH・早発卵巣機能不全(POI)でお悩みの方へ。
当院における卵巣予備能低下に対する診療実績のご案内。
不妊治療において、AMH(卵巣予備能)は大切な指標の一つですが、数値のみですべてが決まるわけではありません。当院では、低AMHと診断された方々の診療を数多く行っております。
当院の集計データでは、AMH 0.02ng/mL未満(測定限界以下)と判定された方の54%が採卵へ進み、さらに採卵できた方のうち57%において、移植に用いることができる胚の獲得に至っています。
低AMHや早発卵巣機能不全であっても、治療の可能性がまったくなくなるわけではありません。
まずは現在のお体の状態を整理し、納得できる治療方針を一緒に考えていきましょう。
▼対象者:2022年5月~2023年12月に当院をART目的で受診し、初診時にAMH測定を実施した450症例のデータをもとに算出
▼対象者:2022年5月~2023年12月に当院をART目的で受診し、初診時AMH値が0.02 ng/mL未満の259症例のデータをもとに算出
▼対象者:2022年5月~2023年12月に当院をART目的で受診し、初診時AMH値が0.02 ng/mL未満546周期のデータをもとに算出
▼対象者:2022年5月~2023年12月に当院をART目的で受診し、初診時AMH値が0.02 ng/mL未満の323周期(卵子凍結周期を除く)のデータをもとに算出
初回AMH測定値が0.02 ng/mL未満(通常のAMH測定キットでは測定不能)
▼対象者:初診日が2022年5月〜2025年11月の患者のうち、初回AMH測定値が0.02 ng/mL未満(通常のAMH測定キットでは測定不能)で、当院にて体外受精または顕微授精を実施し、別周期で良好初期胚融解胚移植を行った方
※良好初期胚:Day2胚はGrade1-3の3cell以上、Day3胚はGrade1-3の4cell以上と定義
妊娠率(胎児の心拍が確認できた率)※単一融解胚移植後の臨床妊娠率
【対象者】
当院にて体外受精・顕微授精を施行し、別周期にて融解胚移植をされた方
【対象期間】
2014年4月~2023年8月
▼対象者:2014年4月~2023年8月当院にて体外受精・顕微授精を施行し、以下のタイミングで別周期にて融解胚移植をされた方
| 当院における単一融解胚盤胞移植後の 臨床妊娠率 |
|||
|---|---|---|---|
| 当院(良好胚盤胞のみ) | 当院(胚盤胞TOTAL) | 全国平均 | |
| ~35歳 | 65.2% | 60.5% | 51.2% |
| 36~39歳 | 53.5% | 45.8% | 41.6% |
| 40~42歳 | 41.8% | 34.7% | 29.9% |
| 43歳~ | 34.6% | 19.4% | 14.3% |
| 当院における単一融解初期胚移植後の 臨床妊娠率 |
|||
|---|---|---|---|
| 当院(良好初期胚のみ) | 当院(初期胚TOTAL) | 全国平均 | |
| ~35歳 | 37.0% | 36.1% | 30.8% |
| 36~39歳 | 27.0% | 26.1% | 24.8% |
| 40~42歳 | 16.0% | 14.8% | 15.5% |
| 43歳~ | 4.2% | 3.1% | 4.8% |
タイミング療法・人工授精を行うも妊娠に至らなかった(初診の方の概ね80%以上がこれらで妊娠成立します)、初回体外受精施行時41歳未満の一般不妊症例52名
すなわち当院では、難治性の不妊症とされる早発卵巣不全(POI)に対し培ってきた高い知識、技術を一般不妊の方に駆使することで、一般不妊の治療に関しても、大変高い成功率を得ていることがわかります。
治療周期あたり30%以上の卵胞発育頻度(10治療周期当たり3周期以上で卵胞発育)を示した症例48例に対する当院独自の卵巣高刺激を中心とした治療成績
PFC-FD(PRP)療法
54例に対する当院独自の卵巣高刺激を中心とした治療成績(全症例体外受精を選択)
DOR症例・重度POF症例ともに、当院独自の治療法により、従来では考えられない卵胞発育率・胚凍結率が得られ、また、妊娠成立に至ることがわかりました。このデータより、卵子残存数は同年代の女性と比べ圧倒的に少なかったとしても、良い環境で卵胞発育さえ得られれば、卵子の質は同年代女性と同等程度に保たれていると考えられます。
重度POFのデータより、自然月経消失より概ね4~5年程度までは、卵子を取り出すことができ、胚凍結および妊娠成立に導くことが可能であることがわかりました。また月経停止からの期間が長くなればなるほど、胚凍結に至る確率、すなわち妊娠に至る確率は低下することがわりました。
DOR症例は、重度POF 症例と比べ、症例当たりの卵胞発育率・治療周期あたりの卵胞発育頻度は高いものの、その他のデータに大きな差を認めず、また一般不妊の結果に近づきませんでした。このことは、DOR群の中には、単に残存卵子数が少ないだけでなく、我々の治療法で改善し得ない別の不妊要因をもった症例が含まれていることを示唆します。すなわち、DOR症例は単なるPOFの初期として理解できない何らかの要因をもっているものと思われます。こうした見解はこれまで世界中どこの不妊治療施設でももっていませんでした。当院ではそうしたDOR症例の病因分析を急ぐとともに、ランダムスタート法(2017年日本生殖医学会にて発表)などを取り入れた新しい治療を試み、一般不妊に準じた治療成績となるよう、治療法の開発・改良を行っています。
上述してきたように、当院の様々な試みにより、これまで不可能と考えられていたPOF不妊に対する治療の道が開けつつあります。さらにその手前のいわゆるDOR症例は、単なる軽度のPOFと考えられる症例ばかりではなく、他の要因によってさらに妊娠しにくくなっている可能性があります。これはこれまで気づかれなかった新しい見解であり、当院ではこれらの要因の分析を鋭意行なっております。
いずれにせよ、AMH値が低下して、お子さんのできにくい方は、出来るだけ早期に当院を受診されることをお勧めします。